二児と美容師と小説と私

そんなことより私の小説読んでください

スプラトゥーン2が楽しすぎる

ゲームが好きだ。子供の頃から。

水商売の親に育てられた私の幼少期には、夜の自由時間が無限にあった。
もう寝なさいと叱る大人がいないのである。
小学生のとき、任天堂ファミリーコンピューターが発売され買ってもらった。
愛は与えられないが金は十分に与えてもらえたのでゲームは簡単に手に入ったのだ。
ツインビー、忍者じゃじゃまるくん、ロードランナースーパーマリオブラザーズ
他にもたくさんソフトを持っていた。
ゼビウスをやり過ぎてゲームを終えてもカーテンが波打つように見えたことや、ポートピア連続殺人事件の犯人がヤスだったショックは今でも鮮明に覚えている。

その後グレてしまったのでゲームはしなくなったが、大人になっても私はゲームが好きだった。

20代後半でニンテンドーDSを買い、マリオを狂ったようにやり、休日には4~5時間ぶっ通しで頭痛と吐き気がするまでやった。レイトン教授おかえり!ちびロボ!にもハマった。ちびロボのラストはドラマチックだった。少し泣いた。

それから私は母になった。子育てと仕事の両立は思っていたよりも大変で忙しく、好きな小説を書くことすら4年休んだ。
子供たちのオムツもすっかりはずれ、それぞれがそれぞれの足でしっかり歩けるようになってから、Twitterと小説を書くことを再開した。自分の時間を少しづつ持てるようになったのである。

 そして私は出会ってしまった。スプラトゥーン2に。

 夏の暑い日、大手家電量販店の抽選販売に並び、並んでいる間に話して仲良くなったひとつ前に並ぶおばさんの引いたクジはハズレて、私のクジは当たった。スプラトゥーン2が私を呼んだのだ。これは運命なのである(たぶん)。

 スプラトゥーン2任天堂公式ページ

 初代スプラトゥーンはやったことがない。Wiiをそもそも持っていない。
でもインクを塗りあうゲームだということはなんとなく知っていた。
初めてスプラトゥーン2を操作したときの感想は「難しっ!」である。
コントローラーを持つ角度を変えることで視点が動くジャイロ操作。
Lスティック、Rスティック、Lボタン、Rボタン、ZLボタン、ZRボタン、A、B、X、Zボタン、そして十字ボタン。
「どんだけあるねん!」とツッコミたくもなる。
チュートリアルはグダグダだった。一戦目、二戦目も「おりゃ~塗れ塗れ~」と口ばっかりで全く活躍できない。
しかし根っからのゲーマーである。すぐにジャイロの感覚を修得し、ボタンの位置を指が覚えた。
鮮やかな色彩のインクは艶と立体感がポップでリアル、そして華やか。見ているだけで気分がアガる。景色は隅々まで精巧に作られており、バトル場外にジャイロで視点を合わせアップにして見回してしまうくらいだ。ブキが奏でる銃声は暴力性は一切ないくせに塗っている実感と快感を与えてくれる。

純粋に塗った面積を競いあうナワバリバトルで経験を積み、ランクが10に上がるとガチバトルに参戦できる。私がスプラトゥーン2に本格的にドハマリしたのはこのガチマッチに行けるようになってからである。

ガチマッチには、ガチホコガチヤグラガチエリア、ガチアサリがある。
いずれもひとつの目的(ホコを運ぶ、ヤグラを進める、エリアを守る、アサリを集める)を味方の四人で協力して達成するバトルである。

中でも私はガチホコが好きだ。愛している。
ガチマッチは二時間ごとに種類が変わる。いつでもガチホコをやれるわけではない。
だから晩御飯を食べ風呂に入るまでのわずかな時間にたまたまホコだった時は全力でやる。
「今ホコやから!ママ今からホコやるから!」
宣言すると子供たちは素直に大人しく聞き入れてくれる。「頑張ってな」とタブレットで観ているYouTubeから一瞬目をそらし励ましてくれる。
対戦相手を待つ間コントローラーのボダンやスティックを動かすと流れているBGMの音色がねじれる。DJ気分でミックスして楽しんだあとチームが決定する。
軽快なドラムと妖艶なボーカルの叫びに似た歌声をバックに、空撮のカメラワークでステージの全容が映し出される。
ドキドキする。やってやるぞ、と思う。

 しかし、ゲームでも仕事でもなんでもそうだが、伸び悩む時期がある。Sランクを目指してきた私にもBとAを行ったり来たりする時期が長く続いた。まぁ今もAとSを行ったり来たりしているけど。
今はこんなかんじ


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伸び悩んだ時に参考にしているのがYouTubeのゲーム実況である。
マインクラフトにハマった時も色んな実況者の動画を参考にした。昭和で言うところの動くゲーム攻略本みたいなものである。
特によく観る実況者はMOTTY裏切りマンキーコング(よしもとクリエイティブエージェンシー所属のお笑い芸人コンビ)。ヒカキンは好きだけどスプラトゥーンはへたくそで参考にならない。ヒカキンはへたくそで良いのだ。それが彼の良さである。

 

娘に教えてもらって知ったMOTTYは頭が良い。彼がスプラトゥーンをサッカーに例えチームプレーの大切さを説いたときはなるほどそうだと唸った。
こちらの動画のラストのホコさばきは息をのんだ。(ラストの音量注意)


【スプラトゥーン2】イカスフィア完全終了のお知らせ。S+勢のガチマッチ実況!#47【Splatoon2】

 


本気出して無言になってしまう時のMOTTYのため息とか呻き声はたまに色っぽい。でもちょいちょい性格悪そうなことを言う。それもまあ魅力のうちだけど。
彼はブラスター使いなのでシューター使いの私にはちょっと取り入れにくいような立ち回りをする。だから最近はもっぱら裏切りマンキーコングの動画を参考にしている。

裏切りマンキーコングの風次さんはあんまり上手くない。でも面白いから観ちゃう。風次さんが一人で撮った動画が好きだ。めっちゃ喋る。機関銃トークである。そして彼は愛嬌がある。撮影中飼い猫が乱入してきた時の風次は可愛くて悶絶した。可愛い。息子みたいに思ってしまう。頑張れ、風次、と励ましてしまう。
西澤さんはプロのゲーマーで、他のブキも上手いが特にシューターの扱いが凄い。神業である。彼の素早い動きは真似できない。いくつも目があるんじゃないかと思うくらい状況をよく見ている。私のSランク昇格は西澤さんの動画を観ていなかったら成し得なかっただろう。冷静で、人のせいにすることもなく、常に次のことを考えてプレイし、学ぶ姿勢を忘れない。ガチアサリで他人のプレイを見て「面白いなぁ」と目を輝かせた時、西澤さんの向上心を見た気がして惚れた。
その動画はこちら

 


【スプラトゥーン2】新戦法!?アサリが色んな動きできて楽しい!【S+攻略プレイ】

 

あまりにもスプラトゥーン2に夢中で家事がおろそかになることもたまにある。
だって時間がないんだもん。
だから私がスプラトゥーンをしている時に夫が「もういい加減にして風呂入りや!子供たちが待ってるやん!」と偉そうに言ってきたこともある。その時は大人しくやめて風呂に入ったが、後日「派手な下着で毎晩飲み歩く妻とスプラトゥーンがやりたくて早く帰る妻、どっちがいい!? え!」と私が凄んだ時から大人しくなった。

彼なりにSランクになることの難しさみたいなものをググったらしく、クリスマスにはサンタからの贈り物という体でプロコントローラーを買ってくれた。私が「Sランクになった!イェアー!」と写真つきでLINEしたら「やったやん!ママ凄い!」と返信してくれるまでの理解を得た。

食事の支度をしながら、洗濯物を干しながら、時には風呂上がりに全裸で、チョッパーベースのダンサブルなスプラトゥーンBGMをエアで演奏していると「それスプラトゥーンやん」と子供たちが笑い、「せやで!」と嬉々として答える。
ホコで残り1カウントまで攻めていたのに延長で逆転負けしてワーワー嘘泣きしながら床を叩いていた時は子供たちが背中をなでてくれた。
フェス(ゲーム内で定期的に行われるイベント)のお題で昔実際にあったらしい「愛VSお金」については娘と一時間語り合ってもまだ話し足りなかった。お題について話し合うと同時に私たちはお互いの価値観を確かめることができるのである。
スプラトゥーンは私たち家族の絆さえ深めてしまう。

 

スプラトゥーンのソロプレイは一期一会だ。毎回味方も敵も変わる。味方が次のゲームで敵になることもあればその逆もある。二度と会えないことだってあるのだ。だからこそ尊い

スタート地点でイカから人の形になる。味方と四人で武者震いしながら身に付いたインクを振り払う。開始早々ナイス!と誰かが言いみんながナイス!と返す。よろしくね!という意味である。
コントローラーを握りしめ、味方の動きを見る。マップを開き、現在の塗り状況、味方の位置、ホコの位置を把握しどこに向かえば良いか瞬時に判断する。
味方の二人が先回りしキルに徹する姿勢を見せる。私とホクサイの二人でホコを割る。その衝撃で敵がデスする。
割れたホコを前にもみじシューターの私とホクサイは顔を見合わせる。どっちが持つ?
ホクサイは接近戦に強く、素早くラインをひける。持つなら私だ。私たちは同時に判断する。気持ちが通じあったことを喜ぶ暇もなく私たちはゴールを目指す。ホクサイがひいたラインをイカになりたどる。斜め前に敵が見えてホコショットを打つ。キルに回っていたクラッシュブラスターがスペシャルのハイパープレッサーを後方から放つ。裏から回ってきた敵に気付いてホクサイが一心不乱に筆を振る。相討ちになる。
ゴールの富士山(と私は呼んでいる)を自陣のインクで塗るために私は最後のホコショを弱々しく打つ。遠くから勝ちを確信した味方がナイス!をくれる。
任せて!あとは!私が!
イカになりBボタンを連打して滝を登るようにゴールのてっぺんにのけぞりながらジャンプしてタッチダウンする。

 

マンメンミー!!!!!

 

 

ハァ……ハァ……気持ち……いい……

 

恍惚とした表情でプロコントローラーを握りしめ「ホコ……最高」とイッてしまっている母親を見て子供たちはどう思っているか知らないが、優しい我が子らはYouTubeから一瞬目を離し「ママ良かったやん」と健闘を称えてくれる。

 

スプラトゥーン2が好きだ。
しかしゲームが好きなように見えてその実ゲームを通して感じる人の気配が好きなのかもしれない。
私以外の7人が、同じようにコントローラーを持ち、イントロダクションでこれから一緒にプレイする人たちの名前を読み上げる。「ディーンフジ・オカンだって、変なの」などと誰かが口にする。ポップで鮮やかなインクで彩られる画面を見、ジャジーでロックなBGMを口ずさみながら一つの目的を共有する。
カモンカモン!こっちこいよみんな!誰かホコを持って!自分が守るから!先行ってキル取っとくね!エリアにチャーで来るなよバカだなぁ!煽ってんじゃねーぞムカつくな!あんた最高だぜナイス!スペシャル出すタイミング完璧だなこの人!みんなありがとうランク上がった!このメンバー最高だった!スプラトゥーンめっちゃ楽しい!!
小さな子供からおっさんおばさんまで、どこの誰かわからない人と一瞬を共にし、悔しさと喜びを分かち合う。

 

最高じゃないですか、このゲーム。
ありがとう、スプラトゥーン2

 

 


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本日(3/2)新しく追加されたアジフライスタジアムにて。ディーンフジ・オカン(ブキ:もみじシューター)